2012/06/10

▼ heart

















- これまでのおはなし -


わたしはハイウェイをすすんでいた   わたしは直立不動   足を動かさずとも滑るように前に進む   だって、これは夢だから   
すると道の真ん中に本のようなものが落ちているのがみえて   なんだろう、とおもっている間にわたしはその上をしゅんと滑り通り過ぎた   しかし その瞬間その本をわたしは手に持っていた
どうやら本はアルバムのようで   その中の写真に写っているのはわたしのよく知る人たちだったが   読み進めていくにつれてそれはだんだんと人間の形ではなくなっていった
わたしは   きっとわたしのこの陰湿な性格が神様の気に触れて 神様が罰としてこんな仕打ちをされるのだろうな  なんて考えていた
しかし、性格というものはそう簡単に変えることなどできないぞ  と居直ったわたしは  こんな可哀想なことがかわいいかわいい わたしを苦しめる神様など殺してしまおうと思い立ったのだ



悪知恵だけは達者なわたしは  まだ生まれたばかりの抵抗などできない赤ん坊の神様を殺そうと計画し  ありったけの職権を乱用してタイムワープをすることにした
わたしは時空警察なのだが    まず 長丁場になりそうな この神様暗殺計画を遂行するための休みを取るため時空警察署に休みをとりにいくことにした
上司にすべてのうまを説明すると   神様が成人して神様という職についてこの"世界"を創り出すその前にタイムワープしようということが    いかにむずかしいことかということを上司に嫌味まじりにくどくどと説教をされる
そんな頭の弱い上司はともかく  世界というものは出し抜けなかった   神様暗殺計画を遂行するわたしに世界は"テロリスト"というレッテルを貼り付けた
わたしは時空警察のエージェントを一転、A級犯となった




わたしは必要最低限の荷物をまとめ   山田町野くん(24)だけをつれてちがう時代へと高飛びした
わたしのとんだ時代はどうやらアイドル戦国時代と呼ばれているようだ   
そして アイドルになるに不可欠な あふれる自己顕示欲と屈強なるメンタルを偶然にもちあわせていたわたしは   町野くんをマネージャーにトップアイドルを目指すことにしたのであった



2012/05/20

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九月の残暑も末の生温い午後のことであった
閑散とした住宅街には 木なども生えていたりして その木の隙間からさしこむ日差しがわたしにやさしい
赤色灯に照らされているかのようなオレンジ色を帯びた町並みにわたしときみだけがあった
水滴をまとったラムネの瓶はまるで真夏のそれである   
僕の半分は”生”でできていて  もう半分が”死”でできている  もう少しひも解けば、その"生"の半分はこんな真昼のなんともない風景のフィルムのような極々変わりない繰り返しからできていて   決して一緒になれない僕の半分と半分がお互いを求めているから  僕の”生”がいまもこうして持続しつづけていられるんだと思うんだ   ラムネが冷たいなぁ、なんて考えている今だって明日のもしもの死のヴィジョンが頭の片隅を魅了している   きみは本当にばかだなぁ   ねえ、ほんとうにばかだよ
きみがそんなことをいう
それはまるで悪魔に見透かされているかのようだった



毎日グーグルアースできみの家までの道を歩く   今日は記念すべき1000回目の訪問   それは決して作業ではなく、自然と体がなにかをつなぎとめようとして行われる儀式のようなものである
実際にきみの家にいったことなど片手すらあまる程であるのに   わたしはきみの家までの道を覚えようなどとはせずともに完璧に覚えている   もちろんきみはそんな事情は知りもしない
そんな儀式にこめられた淡い思いも   夏のにおいとともに終わりをむかえる
きみは白いカッターシャツに白い自転車をおし   そのハレーションでわたしの目をくらませるが   すべておわってしまうのだからそんなことも もうこれで最後なのだ 
"きみ"は じゃあここで といい  ”わたし”は手をふって見送った 
それがわたしたちの最期である



夢の中でさえ きみにばかにされることだけは変わりない  見返してやりたい気にもなれば、その安定感に安心すら得る
安心が得たかった   つかの間のもので構わない  わたしは必死に"ばか"を装う
それを繰り返すうちにわたしは"ばか"そのものになる  "ばか"を真似るだけでなく"本物のばか"になってしまうのだ  なぜならば本物の天才であるからだ
きみは知っていただろうか?
わたしが本物の天才であったこと  あの別れがわたしたちの最期になってしまうこと  




なぜならここは夢の島
人の弱い心につけこむ夢の島だよ


2012/05/18

okujou idol



父の家から持ってきた枕は よその家のにおいがした
いつもとちがう灯りの色が    わたしがさも よそ者であるかのような感覚に拍車をかける
十六年ぶりにかえってきた父に気の利いた言葉をかけることもできず    わたしは画面をひたすらに見つめていた


2012/04/20

hatsukoi


意識をシャットダウンしますか?

起動中のプログラムがあります

強制終了しますか?

プログラム初恋は終了しました


2012/04/05

瞳の中の小宇宙



一週間単位の日常に かき氷のいちごのシロップはすこしあますぎて それは或る種の刺激にもなった
刺激といえば 毎夜々々みる夢は常にわたしの埋没した日常のスパイスであり、 唯一わがままに人を愛せる手段であった
いい夢をみた次の眠りで 夢を具映像化する装置を開発する夢をみてしまう始末  その夢の わたしはというと その映像のスクリーンショットをとってインスタグラムにアップしているのでした
ここ数日は 疲れてしまって夢すらみない 心が苦しい ここは水中か?



眠りにまけない心づくり  魔法少女バスマジック凛と築くあかるい未来と人間関係

思い出少女と猫男  屋上から地面   ★マジカル牛刀★  ひるがしたスカート教

くつ  涅槃  夜  恋の流れ弾に被弾  君のことなど1ミリも気にしたことなんてないよ

しね  はさみ  声  怒号  罵声  しにたいさんの3分スーサイド  おしまい


2012/03/10

ヴィジョンについて



小さい頃から  眠っている自分を見下ろしているヴィジョンを  よくみる   きまって  だんだん視界が自分から遠のいていき  遠くなるにつれて気分が悪くなって  目が覚めるのだ
部屋はきまって真っ白だったから わたしはいずれ来るその日のために 部屋を白色に塗った
あと何度 眠っている自分を見下ろすことになるのだろう  気分が悪くなって目が覚めるのを  あまり好ましく思っていない
まず、わたしは目を覚まし  風呂場に足を運ぶ  そこは真っ白だが  ここではなく  浴槽に浮かんだ薬のシートが たんとはいったジップロックを確認するだけ
引越しをくりかえすたびに部屋はヴィジョンにでてくる白い部屋に近づいていき  いまの家の部屋はもうほとんどヴィジョンと同じ
すべてを白く塗った  そのフィギュアに表情はなく それでも、そのスカートをひるがえしたシルエットはかわいらしい
もう準備は完了  然るに、その日はまだこない
わたしはあと何度  このヴィジョンに悩まされるのだろう
然るに、その日はまだ来ない




しかばね  根無し草  サイフォン・コーヒー  ひなげし  しね  根無し草  策略  苦しい、ここは水中か? 




2012/03/06

go back 天国



 夢の話

午後のニュースが告げるのは 未来の出来事ばかりだった
それを"おかしい"と思わないわたしはすでに頭のまわっていない夢の中の人物だった
舞台は夏の知らないアパートの一室 その六畳の和室は小学生時代に住んでいた家にどこか似ている
飛行機の飛ぶ音と プール帰りの子供の声がきこえてくる部屋で 未来のニュースをじっとみつめる
アイスキャンディーはとけ 畳にぽたぽたと斑点模様を描き、 コーラのはいったグラスの氷がカランと音をたて わたしの頭を覚ました
シーンは移り、 ノスタルジックな色のフィルターを通したかのような街並み  わたしはどうやら時空警察に追われているようだった  記録はここで途切れてる



安心な毎日  週刻みでない日常はとても怠惰
一年前の自分をみて 得もいわれぬ気持ちにもなるし、 あの娘の着せる羊の柄のワンピースだって愛でる
わたしはいつだってつまらない人間であったが、そんな自分がどこかすきだった
きみのつまらないところや だめなところのすべてもとても光ってみえる
決してつまらなくない人間のいうことに耳を傾けないで いつまでもつまらないきみでいてくれ
季節はめまぐるしく変わっていくのに、 わたしのそういう核心的な部分だけは一年たった今も かわらないままなことを悔しく思います



手のひらサイズのピカチュウがいて ほっぺが光ったり、しゃべったりするのだけど  パパに丸洗いされてから鳴かなくなってしまった  


2012/03/01

七夕のお祭り


おはようございます  こんにちは三月しました  
冬がおわるのともに過眠症も克服できたらいいですね
最近はというと  三ヶ月おくれの誕生日プレゼントと いろいろなものをもらいました  かわいいカメラももらってしまったので  たくさん写真を撮ろうとおもいます  あたたかくなったらたくさんでかけよう
ホテルのお高いホットケーキをたべ  決戦にそなえるのです


ひたむきで陰湿なやさしさをあなたに
昔よりずっとやさしい人間になった やさしい歌ばかりをきいて やさしい人間に
それでもどこか背徳感をえたく  色紙で折った指輪を浴槽に浸して溶かしてみたり  つまらない本を窓の外に投げ捨てる
わたしのやさしい各々から吸収したやさしさなど  砂のように指と指のすきまからさらさらと流れ落ちてしまうのだ
かわいい人が好きっていう  きみはちっともかわいくない  それでもひたむきにおもいをよせてしまうのです
きみのことはとてもあいしているけど  死ねばいいと思うよ


2012/02/09

二月のパパのハミルトン


 白い机の上の 白いキーボードにひたすらにむかう
手元を照らす白熱電球(白ライト)に 高くつまれた真っ白いカッターシャツの山  
くらくらするほどのハレーションである



 新調した判子が白い机に紅をさしていまして  そうです 近いうちに名前が変わるのです
パパからもらったハミルトンの時計が それまでの残り少ない時間を刻みますから いまの緑川百々子という名前をほんの手癖で "新しいテキスト" にうちこむのです
するとパパのハミルトンに何かがうつりこむ  白い肌に紅一点
キスマークかとおもったものは 町野くんの返り血でしたから わたしはお風呂にはいろうとおもいまして 書斎をあとにしたのです



2012/02/05

大丈夫、宇宙は膨張しているから


二月になりました
二月も五日目にして  やっと一月にさようならをしていることに気づく
こうも季節に疎いのに 天気には人一倍敏感で いつもきみには天気や夢の話ばかりをしたね


最近はというと、救われたい 救われたい、と常日頃 唸っておりまして
こんなわたしですが 如何に救われようか試行錯誤してみたのだ
たとえば、宇宙が膨張していることを理由にしてみたり  延々と熱めの湯につかってみたり
特撮をみよう、と題しまして ゴジラvsメカゴジラを上映したり
しまいには 救われたかった事など ぽっかりとあたまの中からきえてしまい、士郎正宗の短編アニメのovaに見入っているのでした
パパの代からのサイバーパンクです



町野くん、きみが嘘をつく時に !をつけてしまうことなど
わたしは まるっとお見通しなのだよ ?


町野くん、君がつまらない人間であることは何の罪でもないのだよ
面白い人間になろうとする その無駄な努力が罪なのだ



2012/01/31

かわいい女の子


君が変わってしまったことなど何一つ責めはしないけど、しね と心の底からおもうよ

 女の子が女の子であるためにみんな戦争をしているが  そんなことが馬鹿らしくおもえる  わたしはもう女だ
ヤンデレな女の子がかわいい  まるで、おもちゃのようにかわいい  時には鬼ごっこをして  時にはかくれんぼをしよう  わたしは君とあそびたいのです
愛情のほんの裏返しで  かわいいかわいい女の子にいじわるをしたら  ころされる  こんなに愛しているのに


今度は殺してはだめだし、死んでもだめ  今度は君が鬼ね


2012/01/10

「おめでとうございます、世界は滅びました」



あけましておめでとうございました、地球は滅びました
これからも末永く、 どうぞよろしくおねがいいたします

年があけてから、ふと気づけばもう10日  正月ムードも落ち着きつつある中、やっと初夢をみることができました
夢のはなしばかりすると恋人に嫌われますよって誰かがいっていたけど  君が泣くまで話すのをやめない
明晰夢だった。 それに、都合のいいことに、わたしは君の初恋になっていて それはもう、こわいものなしのアビリティを兼ね備えていたのだ
そんな最強アビリティを兼ね備えた中でやりたい放題した、くわしくは割愛
夢の中で現実的なショックをあたえられ目が覚めても、もう一度 夢の続きを見直すこともできた (セーブ地点からやりなおしの感覚)
夢を乗りこなせるようになったのだ         
しかし、言葉を借りれば いつもの電車に乗って いつもと同じ所へ あの夢の続きはもうみれそうにない、のです





ゆく年くる年、くるもの拒まず去るものを追った
わたしはわがままにひとを愛していた、 そんなわたしはわたしを愛してくれる全てが愛しかったのだ
すきな女の子がうたってくれたすべての歌をすきになったし、くれた手紙の書き文字のカーブひとつひとつをうつしとりたかった
無機質を”むきひつ”と、 七時を”ひちじ”と発音してしまう、舌足らずなわたしのために かなしい歌ばかりをえらんできかせて欲しいのだ
あたまのわるい わたしが一人ででも生きていけるように
君も、君も、君にとって君であるわたしも それを願っているのではなかろうか
高価な食器をかいそろえ  恋人のかえりを机にふせて待つ  きみはまるで 惑星基地のようだ